壺庭への招待
2015.05.19 Tuesday
『あなたの庭はどんな庭』展 -part 2-
大谷寛子/キムラキコ/小池葉月/佐々木美穂/naggy
詳細はひとつ前の記事をご覧ください。
本日よりスタートです、宜しくお願いします。
18:00からオープニングパーティ、宜しければお立ち寄りください。
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壺 庭
庭、と聞いて浮かんだのは『家守綺譚』という小説。
草木がまるで感情を持っているような描写、お伽噺の生物が生き生きと登場したりと、かつて少しの不思議が日常にと危険で居るような時代があったのかと、読み進めるうちに主人公とともに感覚が麻痺していく。
私は物心がついて以来、庭のある家に住んだことが無い。
友達の家に遊びに行ったり近所で見かけた他所の庭の隅から、日本独特の鬱蒼とした仄暗いイメージが何故か強く残っている。
雨など降ればさらに土や植物の匂いがしっとりと陰鬱とした雰囲気を醸し出す。夏には葉の間からチラチラ木漏れ日が瞬き、日向の世界と隔離されたような温度差がある。
光さす瀟洒なガーデンや見応えのある日本庭園もそれぞれに趣があり足を運んだりするが、私の頭のなかにある庭はどこにでもありそうでないのかもしれない。
そこで、かの小説を読むときのあの何とも言えない感覚に結びつく。
そんな『記憶の壺庭』を構築する植物ひとつひとつに寄って耳を傾けてみたくなった。